小松原励 行政書士事務所 Komatsubara Rei Legal Affairs Office 〒 210-0808
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成年後見制度10周年を迎えて



2010.3.23

2000年4月よりスタートした成年後見制度は、今年の4月でいよいよ10年を迎えます。現在この制度を利用されている方が急増しており、2009年3月までの利用状況は、法定後見制度の開始と任意後見監督人の選任申立件数を合わせて、累計17万件に上ると言われております。超高齢化社会を目前にした私たちにとって、不可欠な制度といっても過言ではないでしょう。
成年後見制度は、認知症の方、知的障がいのある方、精神障がいのある方など、判断能力が不十分な方々を支える制度です。判断能力が低下すると、介護施設やサービスを利用するために自分で契約するのが困難になったり、悪徳商法の被害に遭ってしまったりすることがありますが、成年後見人が本人に代わって契約をしたり、財産を適切に管理したりするなどして、本人のライフスタイルを支援していくことができるようになりました。
 しかし、この制度が客観的には本人にとって必要とされているにもかかわらず、本人の周囲にいる方たちがこの制度の存在に気づいていないことが多いようです。本来、自分が希望することは自分で調査したり、分からなければ専門の方に依頼したり、自分で判断・選択することができますが、判断能力が低下すると、自分の希望をうまく表現できなかったり、相手に伝えることが難しくなることが考えられます。そこで、本人の周囲にいる方が本人の状態をよく見て、本人の希望に気づくことによって、成年後見制度について知り、また利用する契機となるのではないでしょうか。
 成年後見人になると、本人から発信される様々なサインや本人に関する情報をもとに本人らしい生活をサポートしていくことになります。心身の状態、生活環境、希望や夢について把握しようとする身上監護と、財産状況(プラス財産やマイナス財産など)を把握しようとする財産管理を行います。成年後見人は法律上、代理人として様々な契約や選択をしていくことになりますが、家庭裁判所の監督下で活動することになりますので、本人のために最もふさわしい活動をすることが求められています。
 私たちが超高齢化社会を迎える心構えとして大切にしたいことは、成年後見制度を必要とされる方の増加とともに、この制度を利用してもらいたいと気づく方が同じように増加していくことではないでしょうか。成年後見制度への理解や利用の促進が今後一層発展していくために、私たち一人一人が本人の変化に気づき、支援していこうとすることが大切なのではないでしょうか。



(文責:行政書士小松原励)